タイヤメーカー創業物語「ブリヂストン」の場合
タイヤは乗り物全般にとって重要なパーツです。
今日の自動車社会は、タイヤなしには成立しなかったでしょう。
タイヤフィッターでは、タイヤについて幅広く周知していきたいという想いがあります。
今回は「タイヤメーカーの創業物語」をお届けします。
創業者石橋正二郎氏、福岡県久留米市の仕立て屋「志まや」継承
1906年（明治39年）。
株式会社ブリヂストン創業者・石橋正二郎氏(1889年〜1976年）は、久留米商業学校を卒業後、父が経営する仕立て屋「志まや」を、兄と共にわずか17才で継ぎました。
「従業員（徒弟）にきちんと休日を与える」
「効率化できていなかった仕立て業を足袋（たび）製造専業にする」
という経営判断のもと、業績を向上させていったそうです。
そして、まだ履物としてわらじが主流だった時代において、革新的な「地下足袋」の開発製造に成功。
地下足袋は、当時エネルギーの主流だった石炭を採掘する「炭鉱労働」の必須アイテムとなり、大きなブームを作りました。
「日本足袋」から「ブリッヂストンタイヤ株式会社」へ
日本では自動車がまだ数台しか普及していなかった当時、地下足袋広告の宣伝カー用として自動車を購入した石橋正二郎氏は、今後は自動車の時代になることを確信。
国内でタイヤを製造する構想をして各所へ相談するものの、自動車自体が珍しかった時代だったので、周囲から猛反対を受けます。
しかし、ゴム研究の権威であった九州帝国大学教授・君島武男氏の協力を得ることに成功。
アメリカの会社にタイヤ製造機器を発注し、技師2名のプロジェクトでタイヤの開発研究をはじめました。
そして1930年（昭和5年）には、ついに国産タイヤの開発に成功するのです。
こうして製造された国産タイヤは、1932年（昭和7年）には商工省の「優良国産品」として認定。
アメリカのフォード社、GM（ゼネラルモーターズ）社の製品試験に合格し、アジア各国へ輸出されるに至りました。
世界的なタイヤメーカーである「株式会社ブリヂストン」
戦中戦後を経て、高度成長期である1953（昭和28）年には売上高が100億円となり、1961（昭和36）年には大阪証券取引所へ上場したブリジストン。
その後は、米国第2位のタイヤメーカー「ファイアストン」社を26億ドルで買収して子会社化し、ヨーロッパに現地法人を置き、F1（フォーミュラ ワン）に参戦するなど、世界的なグローバル企業として躍進を続け、今日の発展に至ります。
世界有数のタイヤメーカーであるブリヂストンは、石橋正二郎氏が当時の社会のニーズに合致した「地下足袋」を作ったことが会社拡大のきっかけでした。
炭鉱夫達の足を守る地下足袋の発明は、過酷な鉱山労働における大きなイノベーションとなり、多くの人々の健康を守りました。
今後のタイヤ業界の発展にも、ぜひ注目していきたいものです。
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